中小企業の財務について(その2)

■向こう1年間の資金繰り計画を立てましょう。


前回、財務管理の強化は試算表の作成から始まることをお伝えしました。
しかし、試算表だけ作成すれば十分かと問われると、そうではありません。
試算表にはキャッシュベースの収支が分からない、という弱点があります。


赤字になっても即倒産はしませんが、資金が底をつくと黒字でも倒産します。
そういう意味では、利益管理よりも資金繰り管理の方が重要です。

そして、資金繰りの管理を行うツールが「資金繰り表」になります。
資金繰り表は、毎月の入金額と支出額を項目ごとにまとめた単純な表ですが、
財務管理にとても役立ちます。


ほとんどの社長が何らかの資金繰り表を作成しているかと思います。
実際に表を作成していなくても、頭の中にはおおよその入金額と支出額が
入っているはずです。
ただ残念なことに、今月もしくは来月、といった短い期間の資金繰り状況しか
把握できていないのが実態ではないでしょうか。


短期間の資金繰り計画しか立てていないと、「お金が足りない!」という事態が
1か月ほど前にしか分からない、ということになります。
1か月という時間は、資金調達を行うには決して十分な時間ではありません。
経営者としての他の大切な業務を削ってでも、資金調達に走り回らなくては
なりません。行き当たりばったりの財務活動です。


計画的に財務活動を行うために実践していただきたいのは、向こう1年間の
「資金繰り計画」の作成です。1年程度先までの資金繰り計画を立て、資金の
流れを予測しながら、資金調達や設備投資の計画を立てます。
1年先の売上など分からないという声もありますが、向こう1年間の「資金繰り
計画」とあわせて、過去1年間の「資金繰り実績」も作成してみてください。

過去の売上の動きから、未来の売上の動きを何となく予測することができるかも
しれません。


財務管理の最大の目的は、「資金を切らさないこと」です。
試算表で利益を管理しながら自社の資金調達力を高め、資金繰り計画を立てて
計画的に資金調達や設備投資を行えば、資金に慌てることなく落ち着いて経営に
専念できます。

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