■節税を止めれば資金繰りが楽になるかもしれません。
節税の目的はキャッシュアウトを減らして資金を増加させることです。
しかし本来の目的を忘れ、節税自体が目的となってしまっている方が
多くいらっしゃいます。
とある社長のお話です。
その方は、ウェブサイトの制作事業で起業しましたが、大手企業を
クライアントに持っていたため、設立当初からまとまった売上が立って
いました。
しかし、支払う税金を少しでも減らすことが経営者の技量だと考え、
1億円の売上が出来れば、9,990万円の費用を使うようにしていたそうです。
税金とどう向き合っていくかというのは、経営の大きなテーマのひとつです。
納税が資金繰りを圧迫することもありますし、税金に対する過度な意識が、
会社の成長を妨げることもあります。同社は後者のケースです。
キャッシュフローを最大化することが本来の目的であるはずなのに、
節税に意識が行き過ぎると、税金を出来るだけ払わないことが目的になって
しまいます。利益を出さないように費用を 増やせば、税金を少なくするという
目的は達成できますが、手元にキャッシュは残りません。
財務内容も悪くなり借入もままならないため、資金繰りは当然厳しくなります。
同社の社長様も、設立から5年ほど経ってようやくそのことに気づいたそうで、
「節税を止めた途端に資金繰りが楽になりました。銀行が積極的に融資をして
くれるようになり、1,000万円近くの税金を支払っても、億単位の資金を調達
できるので、金に余裕ができました。」とおっしゃっていました。
税金は最大でも利益の35%程度です。
利益以上に税金を払うことは決してありませんので、税金が原因で倒産する
ということは理論上ありません。
ただ、利益を資産の購入に充てたり、利益の受取よりも税金の支払いが先に
来たりする場合は、納税が苦しくなります。この場合の問題は税金ではなく、
ファイナンスです。
税金を払わないことに一生懸命になるより、ファイナンスを適切なタイミングで
行い、税金を無理なく支払えるようにすることの方が重要です。
節税をしているのに資金繰りが苦しいと感じている方は、ファイナンスを
上手く活用できていないかもしれません。是非ご相談ください。