倒産について

■ 倒産を決めるのは経営者の意思です。


物の本によると、倒産とは「企業が債務の支払不能に陥ったり、
経済活動を続けることが困難になった状態を指す。法的倒産と
私的倒産の2つに大別され、法的倒産では再建型の会社更生法と
民事再生法、清算型の破産と特別清算に4分類される。私的倒産は
銀行取引停止と内整理に分けられる。」と定義されています。


しかし、厳しい状況に追い込まれながらも倒産を選択せず、事業を継続して
いる社長様もいらっしゃいます。家賃や人件費が払えない、返済ができない
からと言って倒産するとは限りません。
基本的には、経営者の意思で法的整理や私的整理等の行動を起こしてはじめて
倒産となります。倒産するかどうかは経営者次第です。


とある社長の事例です。
第三者から資金支援を受けて事業拡大に挑戦しましたが、出店した新店舗が
軌道に乗らず、会社全体の資金繰りが悪化してしまいました。
やむを得ず新店舗の撤退を決断したところ、スポンサーから支援の打ち切り
だけでなく、これまで受けた支援資金の返済を執拗に迫られるようになりま
した。

資金繰りが厳しいうえ、契約書をしっかりと交わしていなかったため裁判を
起こされたり、違法な取り立てを受けたりしたため精神的に参ってしまい、
「今後どうすれば良いのか。倒産しなければならないのか?」というご相談で
来所されました。


こちらの社長も、家賃や返済が出来なくなれば「倒産しなければならない」
と勘違いしていたようです。倒産するかどうかは社長次第であることや、
法的整理やM&A等の選択肢についても説明した結果、「今が楽になっても
今後の収入がなくなるのは困る。止めるのはいつでも出来るので、もう少し
頑張ってみよう。」という結論に至りました。



継続を前提として資金繰り予測を立てたところ、銀行と大家さんの協力があれば
何とか資金が回ることが確認できたため、計画書類を作成し、銀行と大家さんの
ところに出向きました。大家さんには延滞分の分割支払い、銀行には返済猶予に
快く応じていただきました。


それから約1年後、売上規模は大きく落ちましたが黒字決算となりました。
スポンサーからの嫌がらせも徐々に収まってきているようです。
社長は「この調子でいけば少しずつ債務の返済ができそうだ。あの時は現状から
逃げることばかり考えていたが、逃げなくて良かった。おそろしい程メンタルが
強くなっただけかもしれないが、今考えると何てことはない。」と笑っていました。

この選択が正しかったかどうかは分かりませんが、倒産しないというのも一つの
選択肢かもしれません。


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