コロナ肺炎騒動で進む働き方改革

■50人の社員を抱える会社の事務所に、50人分のスペースは必要か?


コロナ肺炎は、働き方にも大きな一石を投じました。一部の企業はいち早く
出勤禁止を命じ、その成否の検証を始めました。総じて仮説通りの感触を
得ているようです。「全員が出勤しなくても事業の運営に支障は出ない」
との仮説です。今後テレワークが急激に進むことでしょう。
併せて、雇用形態についても、様々な見直しが行われるはずです。
コロナ騒動は、長期間固定され続けた日本の労働慣習が大きく見直される
きっかけになったようです。

以下、労働形態や契約形態について整理しました。
この機会に貴社に当てはめてご確認ください。

(※日本次世代企業普及機構研究会資料より一部抜粋させていただきました。)


◎テレワーク(離れたところで働く)の労働形態も、ますます増えそうです。
 大きく三つに区分できます。


◆1:在宅勤務(終日在宅勤務)
終日、所属するオフィスに出勤しないで自宅を就業場所とする勤務形態です。
オフィスに出勤したり、顧客訪問や会議参加などによって外出したりすること
がなく、1日の業務をすべて自宅の執務環境の中で行います。
通勤負担が軽減され、時間を有効に活用することができます。


◆2:モバイルワーク
移動中(交通機関の車内など)や顧客先、カフェなどを就業場所とする
働き方です。営業など頻繁に外出する業務の場合、様々な場所で効率的に
業務を行うことにより、生産性向上の効果があります。
テレワークでできる業務が広がれば、わざわざオフィスに戻って仕事を
する必要がなくなるので、無駄な移動を削減することができます。


◆3:サテライトオフィス
所属するオフィス以外の他のオフィスや遠隔勤務地の施設を就業場所とする
働き方です。例えば、所属するオフィス以外の、他のオフィスが従業員の
自宅の近くにある場合、そのオフィス内にテレワーク専用の作業スペースを
設けることで、職住近接の環境を確保することができ、通勤時間も削減する
ことができます。
また、遊休施設や空き家などを活用して行う遠隔勤務には、組織の活性化や
地方創生など、多様な期待が寄せられています。


◎人と法人との契約の形態も様々です。
 大きく四つに区分できます。


◆1.雇用契約
〇労働者は「労働時間」を提供することで、会社から「賃金」を受け取れます。
○成果物の完成責任は負いません。
○指揮命令権はあります。
○労働力の提供が行われないと、その責任が問われます。


◆2:派遣契約
○労働者は派遣会社に雇用され、派遣会社は提供する「労働時間」に対して
 報酬を受け取れます。
○成果物の完成責任は負いません。
○指揮命令権はあります。
○労働力の提供が行われないと、その責任が問われます。


◆3:請負契約
○請負人は「仕事の完成」と引き換えに会社(依頼者)から報酬を受け取れます。
○成果物の完成責任を負います。
○指揮命令権はありません。
○成果物が納品されない、成果物の不良や不具合(瑕疵担保責任)に対して
 責任が問われます。


◆4:委任、準委任契約
○断続的な業務処理(法律行為など)に対し、一定の報酬を受け取れます。
○成果物の完成責任は負いません。
○指揮命令権はありません。
○約束していた業務が適切に実施されていない(善管注意義務違反)ことに
 対して責任が問われます。


正社員・派遣・アルバイトなどの、「労働時間を提供して対価を得る」働き方
だけでなく、「対価を担保して時間を自由にする」請負契約的な働き方も増えて
くるはずです。


一昔前とは様変わりした労働に対する考え方が、様々な契約形態を創出して
いくはずです。また、進化したITが、新しい労働形態を可能にしてくれ
ました。10年前には考えられない働き方ができます。
業種や業務によって異なりますが、先入観にとらわれ過ぎず、新しい契約
形態や労働形態に挑戦することも、働き方改革の波に乗るための重要な要素
ではないでしょうか。

50人の社員を抱える会社の事務所には、50人分のスペースを用意する、
この常識が非常識になる日も近そうです。

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