分散と安売りから脱却しましょう

例えばビジネスを始めるときに、一番最初はお客様がいなかったり
物が売れなかったり、サービス提供できるものも少ないということで 、
"儲からない=閑散"だから貧乏になる、この状況は当たり前ですよね。

一方で、世の中の多くの企業が "忙しい" と言っています。
忙しいのであれば、当然利益は出ていますよね?と尋ねると、必ずしもそうでは
ありません。忙しいのになぜ利益が出ないのか?まずはそこに疑問をもちましょう。


"閑散だから貧乏"" 忙しいから高収益"これはわかります。
しかし、忙しいのに利益が出ていない貧乏。これは何かが間違っています。

本来であれば、繁盛しているなら高収益にならないといけない、または暇だから
儲からない=閑散貧乏であるべきです。しかし 閑散貧乏と繁盛高収益という軸しか
ないはずなのにもかかわらず、そこに繁盛貧乏という概念があるのです。
長時間働いて、世に言われるブラック企業になっているにも関わらず、給料は
薄給である、毎日従業員も社長も忙しく働いている、という状態はおかしいの
です。しかし残念なことに、少なくない企業がそういった状況に陥ってしまって
います。

再度申し上げますが、本来は、"閑散で貧乏"と"繁盛で高収益"という軸しか
ないはずなのに、繁盛で貧乏という軸にふれてしまっている。
本当は、閑散でいかに高収益をつくるかが一番いいです。

例えば社長に、忙しいですか?と聞いて、そんなことないですよ。もちろん仕事
ですから一生懸命やってはいますが、その分収益もガッツリ出ていますよ、と回答
があります。これが本来の経営者の腕前ですよね。

しかし世の中には繁盛貧乏という軸にたどり着いて、身動きが取れなくなっている
企業が多く、これがまさに働き方改革が必要な理由の一つでしょう。
そんな繁盛貧乏に陥る理由について詳しく説明していきます。


■原因① 分散症候群

分散症候群とは企業が患う5大疾病の一つで、商品やサービスの幅を広げ過ぎてしまい、
マーケティングが曖昧になる病です。誰に・何を売るかがぼやけてしまいます。
原因としては、商品の品揃えやサービスの幅を持たず、売れないと思い込むことです。


企業は何もないところから始まります。この段階では品揃えの強化や幅が必要ですが、
一定のレベルを越えたあたりから、商品の品揃え、サービスの幅、事業領域を絞り
ながら成長を遂げる必要があります。拡大は、面を広げることではなく面を狭めて
深堀することです。
経営資源が分散されると、社内のありとあらゆるものが複雑になるため、動きが
悪くなります。対応が遅くなり、ミスが多発し、全体的にコスト高になります。
各商品やサービスの磨きこみも十分でなく、総花的な品揃え、サービスを提供して
おり、これといった強みもありません。
解決策としては、すべてをSimple化(単純化)することです。とにかく減らして
絞り込む。 経営者は事業の幅を広げすぎる傾向にあるので、ここを絞ることが重要です。
戦略的には事業立地の単純化 、 戦術的には品揃えや営業時間の単純化 などです。


■原因② 安売り症候群

「値決め」は経営の要です。にも関わらず、値決めにかける手間暇が少なすぎると
思っています。また、総じて安く付けすぎているとも思っています。
間違えた「値決め」が経営に与えるダメージを過小評価してはいけません。
経営者は閑散な状態を嫌います。故に、安すぎる「値決め」をして、貧乏しても
繁盛したいと考える傾向があります。「繁盛貧乏」が多いのはこのためでしょう。

値下げを続けると、企業はどんどん弱くなります。その結果どうなるか。
"利益を出すために商売しているんじゃない"と利益を否定するような発言を
するようになります。
利益を否定することはつまり、事業を否定することです。

『結局利益出す人はうまくやっていて、うちみたいに真面目にやっている人は
なかなか儲からないね』という論理は世の中たくさんありますが、これは最大の
間違いで、逃げです。


目指す価格に価値を近づける努力、より値段を頂く方向に頑張り続けるのが企業の
本質論であり、一方、それをやめて価格を売れるまで落とす。
一度その味を覚えてしまうと、前者の努力をせずに価格だけで勝負をしだしますよね。
売るために価格を使うという愚策の典型です。
その結果どうなるかというと、繁盛貧乏になるのです。

繁盛貧乏から抜け出すために、まずは値上げをしましょう。
それで売れないなら、少し売れないことを噛みしめ、そして本当に値上げした
価格に追従できるくらい、購入してもらえるような努力をし、良いものを作って
いくという企業文化を続けていくことが重要です。

■対策

・高収益(Profitable)を目指す、ここから始めてください。
・値決めを再考する。値上げを検討する。
・付加価値の向上を目指す。
・利益管理を徹底する。
・コストを抑える。


繁盛貧乏に長期間浸ってしまった企業は、その考え方やバイタリティが
なくなってしまっています。これは致命傷なので、上記の対策をとるなどし、
いち早く繁盛貧乏から抜け出しましょう。