【会社のつくり方】自分でつくる、専門家に任せる、どっちが得?

■会社のつくり方で節税に有利不利が決まります。

はじめに

会社を自分でつくることは可能でしょうか?

もちろん可能です。 そんなに難しいことではありません。

しかし自分で会社をつくった場合、 後になっていろいろ問題が生じることがあります。

そのため、もし時間が許せば専門家に相談してみることをお勧めします。

まずは税理士に相談を

では、誰に相談するのが良いのでしょうか?

司法書士、行政書士、弁護士など頼れる専門家はたくさんいますが、

小さい会社をつくる場合は税理士に相談するのが一番です。

理由としては、専門家の中では税理士が一番、小さな会社の経営実務全般を把握しているからです。

弁護士、司法書士、行政書士がつくった会社を税理士が見ると目を覆うことがあります。

それは「節税を考慮していない会社」をつくってしまっている場合が多いからです。

税理士は会社設立の相談を受ける際に

「節税のために最も有利な会社」の設立のしかたをアドバイスできます。

税理士は起業家支援をしている人が多く、初回の相談料が無料の税理士もたくさんいます。

基礎知識を持たずいきなり相談に行っても問題ありませんが、

基礎知識を身につけてから相談に行けば、より深い領域の相談ができます。

いくつかご紹介します。

会社の設立費用はいくらかかる?

そもそも、会社の設立にはいくらかかるのでしょうか。

株式会社の場合、20万円~と覚えておくとよいでしょう。

内訳は以下のとおりです。

内訳

 ・公証役場への支払5万円程度

 ・収入印紙4万円(専門家に任せるとかからない場合が多い)

 ・法務局への支払15万円

 合計 24万円程度 (専門家に任せると20万円程度)

専門家に任せたとしても、報酬が4万円未満であれば任せた方が安くなります。

その理由は、専門家は収入印紙の料金がかからない方法(定款の電子承認)を

行えるからです。専門家報酬がゼロ、もしくは安価な専門家もたくさんいます。

専門家の中でも、税理士が一番費用を安く抑えられると思います。

税理士は設立以降、決算などの場面で仕事を依頼されるケースが多く、

初期費用を無償(もしくは安価)にしているケースも多いからです。

なお、この他に会社の実印となる印鑑をつくらなければなりません。

インターネットで「会社実印」と検索すれば、

3000円くらいから作成することができるサイトがたくさん出てきます。

特にこだわりがなければ一番安いもので問題ありません。

「定款」を作成しましょう

会社設立にあたり、定款の作成は必須項目です。

定款とは、個々の私法人の組織・活動について定めた根本規則(を記した書面)です。

ここで決めなければいけない項目は9つです。

  1. 会社名
  2. 本店所在地
  3. 会社の目的
  4. 役員
  5. 資本金
  6. 発行可能株式数・発行株式数
  7. 事業年度
  8. 譲渡制限
  9. 発起人 (株主・出資者)

インターネット上に出回っている定款サンプルは複雑なものが多いですが、

最低限の記載内容でまったく問題ありません。

1~9それぞれのポイントをご紹介します。

1.会社名(商号)

会社名は自由に決められます。ただし「株式会社」は必ず入れなければなりません。

なお、同じ住所に同じ会社名の会社をつくることは禁止されています。

2. 本店所在地

会社の住所になります。事務所を借りていない場合、自宅の住所になる方も多いです。

3. 会社の目的

どんなことをする会社かを決めます。

「定款目的」とインターネットで検索すれば、たくさん文例が出てきます。

注意しなければいけないのは許認可業を行うときです。

許認可業とは、監督官公署の許可等を得ないと、してはいけないビジネスを指します。

例えば、飲食業、生命保険の販売、中古車販売、不動産業、人材派遣業、

人材紹介業などがこれに当たりますが、許認可が必要なビジネスは

実はかなり多いのが実情です。そして許認可業を行う場合には、

定款の目的にその許認可業をやる旨の記載が必要となります。

これからはじめる事業が許認可業なのかわからない場合や、

許認可業を行う場合には必ず税理士に相談するようにしましょう。

実際のところ、定款の目的の書き方がおかしいという理由

許認可が受けられないケースは少なくありません。

なお、書き方が不十分であると許認可当局から指摘された場合、

再度登記をし直さなければならなくなり、数万円の損失となってしまいます。

4. 役員

役員とは、代表取締役、取締役、監査役と呼ばれる人たちのことです。

代表取締役、取締役が合わせて3名以上になる場合には、

取締役会を設置するかどうかなどの検討事項が増えます。

一人で設立する場合は自分が代表取締役で問題ありませんが、3名以上が役員になる場合には必ず専門家に相談してください。

取締役会設置、監査役設置が必要かどうかのアドバイスを受けることができます。

5. 資本金

資本金は1円以上でOKです。

元手がかからないビジネスであれば1円でも構いません。

元手がかかるビジネス(飲食業など)であれば、初期投資に必要な資金と

数か月の運転資金が準備できれば最高です。

なお、「資本金は使ってはいけないのか?」と聞かれることがありますが、

もちろん会社で必要なものを購入するのに使っても問題ありません。

他にも「自分がやろうとしている飲食業は1500万円の初期投資が必要。

そんな資本金、用意できるわけがない」という方もいると思います。

実際のところ、初期費用が1500万円必要だとしても

そんなに資金を用意できる人はいません。

そうなると、金融機関から借入をすることになると思いますが、

最初の借入の場合「貸出金額は資本金の倍まで」とする金融機関も多いです。

したがって、初期費用が1500万円かかる場合は、最低でも500万円を用意し、

資本金の2倍の1000万円を借入れることによって資金を賄うことになります。

金融機関からの借入を視野に入れている場合、必ず税理士に相談をしながら

会社設立を進めるようにしましょう。

借入ができない会社をつくってしまっては元も子もありません。

なお、設立時の資本金を1000万円未満にしておくと基本的に設立2年間、

消費税の納税が免除されます。1000万円の壁は強く意識してください。

6. 発行可能株式数・発行株式数

次に、発行する株式の数と1株の金額です。

ずっと自分一人だけが株主である場合はそんなに気にすることなく、

資本金100万円だから1株1万円でいいや、ということは100株発行にしよう、となります。

ところがビジネスの先行きはわからないものです。

特に会社が大きく成長する場合は、株主が増えることも多々あります。

そんなときのために、発行株式および発行金額は慎重に決める必要があります

発行可能株式数は、この会社は何株まで株式を発行することができるかを規定するものです。

発行可能株式数は適当で問題ありませんが、昔の法律の流れで

当初に発行する株式数の4倍までとしている会社が多いように思います。

7. 事業年度

"事業年度を決める"とは、決算月を決めることです。

日本は一般的に3月末日を決算日にしている会社が多いですが、

それは上場企業や大きい会社だけの話と考えてしまっていいでしょう。

決算日は自分の自由に決めてしまって問題ありませんが、こだわりがない場合は、

会社設立から1年後の月末(7月7日に設立した場合は6月30日)にするか、

一番売上があがりそうな月の前月末にするとよいです。

これは消費税の納税と役員報酬の決定に大きく関わってきます。

8. 譲渡制限

株式は自由に売買できるものです。

ところが、譲渡制限付きの株式にしておけば株式は自由に売買できなくなります。

例えば、友人が親切心で出資し株主になってくれる、ということはよくある話です。

そこまでは良かったのですが、あるときお金に困ったその友人が、

あなたの会社の株式を誰かに売却してしまったとしましょう。

万が一悪い人が買った場合、大変なことになります。株主は会社の所有者です。

"会社の経営に参加するから取締役にしろ"

"給料は月に100万円よこせ"

などという話になれば、とても面倒です。

そこで、譲渡制限を付けておけば勝手に売買することはできません。

譲渡制限をつけておくと、株式を売買するときは会社の許可を得ることになります。

なので、とりあえずは譲渡制限を付けておくことをお勧めします。

後々、上場をねらう場合などは譲渡制限を外すことも可能です。

9. 発起人(株主・出資者)

発起人は会社設立時に株主になる人のことです。

発起人は個人の印鑑証明と、個人実印の押印が必要になります。

発起人があまりにも多いと、印鑑証明が集まらない、実印をなくしてしまった人がいる、など

手続きが進まないことも多々あります。

このような場合、とりあえず発起人を一人だけで設立し、

会社設立と同時に他の株主に株式を売却するなどの方法をとることも可能です。

税理士に相談!&印鑑証明を取りにいこう!

まずは専門家に相談しに行きましょう。

その際は税理士への相談をお勧めします。

なぜなら、税金対策が完璧になされた会社ができあがるからです。

初回相談無料の税理士を選べばお金はかからないので、

アポを取ったら相談に出向く前に、個人の印鑑証明を住所地の役所で

取得してから行くといいでしょう。

取得の際の領収書は忘れないでくださいね、会社の経費になります。

印鑑証明を取得する理由ですが、仮に税理士の説明に納得し、

このまま設立手続きの代行を依頼してしまおう!と思ったときに、

そのまま印鑑証明を渡してしまえるからです。

会社の設立時には、株主となる方や代表取締役になる方は、印鑑証明が必要です。

印鑑登録をしていない方は、もちろん印鑑登録が必要です。

個人の実印となる印鑑を用意し(極端な話、100円ショップで買ったものでも大丈夫です。

スタンプ式の印鑑はダメです)、個人の印鑑証明書を持って行きす。

しっかりと税理士に相談したうえで、設立代行を依頼するか自分でやるかを決めましょう