■1カ月手遅れなのではなく、半年から1年以上遅いのです。
会計は、 会社の財産や収益の状況を詳細にわかり易く表現してくれます。
人類が作り出した偉大な発明の一つです。
自社の経営の場面においては、その状況を継続的に把握することで
経営の成果の確認や、次の判断の基礎になります。
また、金融機関や株主などの利害関係者に対しては、
経営の進捗を示す指標になります。
数期の決算書を並べて確認することで、会社の経営状況は概ね把握できます。
経営者は、少しずつでも、会計への理解を深める必要があります。理解した方が得です。
また、会社には、会計を行う機能、財務機能が必要です。
中堅規模以上の会社には必ずあって、
創業から小規模企業・個人事業者様にない機能がこの財務機能です。
財務機能は、会社の規模が小さいから不要、というわけではありません。
この機能の欠落、財務無策は、創業から小規模企業・個人事業者様が破たんする主因の一つです。
利益は出ているのに現預金がないのはなぜ?
■不思議に感じる方も多いようですが、これはよくあることです。
これはなぜかというと、 「利益は、現金以外に形を変えている。」 からです。
例えば、今月売れた商品のお金の回収が来月の場合、
決算期末が今月なら、決算書には未回収のお金が売掛金として計上されます。
今月売れて来月回収できるなら、それは今月の売上です。
お金の回収は来月であっても、売上は今月上がります。
そのためお金には変わっていませんが、利益には加算されます。
この売掛金が大きく、お金に変わる期間が長い場合、
利益は出ているがお金がない状態になります。
また、来月以降売れる商品を事前にたくさん作って
(または、仕入れて)持っている場合など、同様の結果になりがちです。
あるいは、資産を購入した場合なども同様の結果になりがちです。
黒字倒産は、上記に対する財務無策が原因です。
会計を理解していれば、絶対に起こりえない悲劇が黒字倒産です。
利益は出ていないのに、現預金は潤沢。なぜ?
■このケースはあまり 多くはありませんが、上記の逆のケースで起こります。
ただし、次の売上が止まった瞬間に急激に資金繰りも悪化します。
お金があるから油断していますが、まさかが起きれば途端に破綻します。
会計を理解しておれば、事前に打てる手もあります。
借入れは最小限にとどめたいが、それでよい?
■心情的にはわかりますが、正解ではありません。
借入れは適正に行う、さらに経営基盤が弱く、金融機関の評価が高くない時は
多めに現預金残高を確保することをお薦めしています。
経営基盤が強くなるにつれて、徐々に多めから適正に近づけて行く方法が
現実的です。総じて経営基盤の強くない、創業から小規模企業・個人事業者様には、
「借りられる時に借りられるだけ借りてください。」
とお伝えしているのはこのためです。
今月・来月末までに資金が必要。なんとかならないか?
■これでは遅いのです。間に合わないケースも少なくありません。
「遅い」とは二つの意味があります。
1.手続き的に間に合わないケースが一つ目です。
資金調達はできそうですが、時間的に厳しいケースです。
2.手続きの時間ではなく、"今は調達できない"
という意味で遅いケースが二つ目です。
過去の適正なタイミングで資金調達すべきでした。
または、もっと早い段階で返済猶予を受けるべきでした。
このようなケースは少なくありません。
とにかくお金に関する備えが遅い、備えを怠る、
創業から小規模企業・個人事業者様に多く見られる財務無策の典型です。
財務に対する施策は、会計を理解した上で、適時・継続的に行うべき事柄です。
資金が必要な時に、お金に困った時にスポットで行う事柄ではありません。
お金に困りそうな予感がする経営者の方も、「手遅れ」とならないうちにご相談ください。