■意外と知られていない中小企業事業について解説します。
資金調達の相談を受けていると、「日本政策金融公庫から
"融資枠が一杯なので、これ以上融資はできない"と言われました。」
というケースがしばしばあります。
「中小企業事業にも相談しましたか?」と聞くと、大抵の方が
「中小企業事業ってなんですか?」とおっしゃいます。
日本政策金融公庫の中小企業事業について説明していきます。
中小企業事業ってなに?
一般的に日本政策金融公庫というと、旧国民生活金融公庫、
いわゆる国金をイメージされる方が圧倒的に多いようです。
しかし、旧中小企業金融公庫、いわゆる中小公庫も
現在は日本政策金融公庫となっております。
それぞれ、日本政策金融公庫国民生活事業と
日本政策金融公庫中小企業事業です。
国民生活事業と中小企業事業の違い
この国民生活事業と中小企業事業は、同じ会社ではありますが、
窓口は全く別です。国民生活事業が無担保で2,000万円までの小口融資を
行うのに対して、中小企業事業は、それ以上の金額の融資も行います。
創業間もない方や小規模な事業を営む企業は国民生活事業で間に合いますが、
企業が成長し、より大きな資金が必要となれば、中小企業事業も利用することを
おすすめします。
中小企業事業の利用について、明確なルールは特にないようですが、
ある事例でいうと、約1億5,000万円の売上高の企業が
海外出店資金として4,000万円を調達しました。
こちらの企業も、既に国民生活事業からの借り入れがあり、
国民生活事業ではこれ以上融資はできないと言われていました。
昔は、国民生活金融公庫と中小企業金融公庫は別々の会社だったため、
混同することはありませんでした。しかし、現在は日本政策金融公庫に
集約されているため、中小企業事業の存在が分かりにくくなっているようです。
不思議なことに、国民生活事業の方から、
「こちらの枠が一杯なので中小企業事業を利用されてはどうですか。」
と中小企業事業を紹介されることは、ほとんどないようです。
おわりに
国民生活事業で2,000万円近くの借入が既にあり、これ以上の融資は
制度上難しいと言われた方は、中小企業事業とお付き合いを始める
ステージかもしれません。
審査は格段に厳しくなりますが、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。