■質問に振り回されないために財務の知識を身につけましょう。
ある関与先様から「銀行の担当者から役員報酬が少ないと言われた。
社会保険料の負担が大きいのであまり上げたくないが、どれぐらい
上げたら良いか?」とのご相談がありました。
現在の役員報酬額は25万円です。
普通に回答すると「適正な役員報酬額は粗利益の○%程度ですが、
社会保険料と所得税の負担が○円増えますので・・・」となりますが
金融機関担当者の意図がすぐに分かりましたので「無理して上げる
必要はないですよ。」と回答しました。
金融機関担当者は、どのような意図で役員報酬が少ないことを
指摘したのでしょうか。もちろん、社長の生活を心配して「もっと
役員報酬を取った方が良いのでは」などと言っている訳ではありませ
ん。「役員報酬が少ないですね。」という質問の本質は、「本当は
赤字ではないでしょうか。」ということです。
たとえ決算上の利益が100万円出ていても、本当に必要な生活費が
500万円だとすれば、経費が200万円過小に計上されていますので、
実質の利益はマイナス100万円になります。
金融機関の担当者は、少なすぎる役員報酬を見て実質赤字ではないか、
と心配しています。
当社の場合、同居している奥様と子息も一緒に働いており、給与も
しっかり出していますので、「役員報酬が300万円でも世帯収入は
十分にあることを説明してください。」とお伝えしました。
金融機関担当者の懸念はこれだけで解決します。
仮に担当者の言葉を額面どおりに受け取っていたら、適正な役員報酬額
という難題の解決に時間を費やし、意に反して増加する社会保険料を受け
入れた挙句、役員報酬の増加により利益は減少という金融機関担当者の
真意に反する結果になっていたところです。
財務の知識が不足していると、金融機関担当者の何気ない一言に
振り回されることがあります。金融機関の考え方を本当に理解して
いる方をブレインとして持ってください。