■自社の返済能力を把握して対策を講じましょう。
金融機関には原則雨傘はありません。
業績が厳しい企業への融資は、回収ができない可能性が高いためです。
裏を返すと、業績が厳しい企業は、返済ができない可能性が高いことを
意味しています。
しかし、コロナ禍に対処するため、現在は国策として雨傘であるコロナ融資
が大々的に行われています。
「コロナ融資で今は助かったけれど、3年後から本当に返済できるか不安だ。」
と感じていらっしゃる社長様も多いのではないでしょうか。
いざという時のためにコロナ融資を受けたが、その殆どが預金に残っている
という企業は問題ありませんが、足元の業績が厳しく、融資金を赤字補填に
使ってしまっている場合は、大変厳しい未来が待っています。
コロナ融資の返済については、何らかの救済策が出るのではないか、と
噂されていますが、自力で返済する前提で目標を立てておいた方が健全です。
ただ、今ある借入を返済するには、どれぐらいの利益が必要か検討もつかない
という社長様のために、返済に必要な利益をざっくりと把握する方法をお伝えします。
まずは実質的な借入額を算出します。
実質的な借入額は、借入額から預金と平均月商を差し引いて求めます。
5,000万円の借入があり、預金が1,000万円、月商が1,000万円であれば、
実質的な借入額は、5,000万円-1,000万円-1,000万円=3,000万円となります。
一般的に、借入は最大10年程度で返済できればよいとされていますので、
実質的な借入額が3,000万円の場合、1年あたり300万円の利益を出せれば
借入の返済は十分に可能と判断できます。
ただ、実際は年間の約定返済額が500万円であったりするため、借り換え
などを行い、返済額を利益の範囲内に収めなくてはなりません。
足元は厳しい状況が続いていますが、返済が始まる頃には、実質的な借入額の
10分の1の利益を出すという目線で、業績回復の事業計画を立ててください。
現在の事業の延長線上では、とてもそれだけの利益を出せそうにない場合は、
中小企業等事業再構築促進事業制度等を活用し、新たなビジネスモデルの構築に
果敢にチャレンジするという選択肢もあります。