■ 保証協会の保証枠をどの金融機関に割り振るかが重要です。
コロナウィルスの感染拡大により、初めて融資取引を開始した経営者の方も
多くいらっしゃるようです。
初めて融資を受けるときはもちろん、既に融資取引のある方でも、明確に戦略を
もって金融機関を選んでいる方は多くありません。
そこで今回は、金融機関選びのポイントを解説します。
地域により目安となる年商規模が変わる可能性はありますが、年商に応じて
金融機関を選ぶことをおすすめします。
【創業から年商3億円程度までのステージ】
・日本政策金融公庫
・保証協会保証付き信用金庫、信用組合からの融資
・信用金庫、信用組合からのプロパー融資
【年商3億円程度から年商10億円程度までのステージ】
・日本政策金融公庫
・保証協会保証付き信用金庫、信用組合、地方銀行からの融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行からのプロパー融資
【年商10億円超のステージ】
・日本政策金融公庫
・保証協会保証付き信用金庫、信用組合、地方銀行、
メガバンクからの融資
・信用金庫、信用組合、地方銀行、メガバンクからのプロパー融資
審査の難しい順で並べると、最も融資を受けやすいのは日本政策金融公庫、
次に保証協会保証付き融資、続いて信金信組プロパー融資、地方銀行プロパー
融資、メガバンクのプロパー融資となります。
資金戦略上最も重要なポイントは「保証協会保証付き融資をどこの金融機関で
利用するか」です。
保証協会とは、その名のとおり保証をする機関であり、直接融資をすることは
ありません。しかし保証協会の保証があれば、例え創業したばかりの企業でも
メガバンクから融資を受けることができます。
金融機関にとって、保証付き融資は安全性の高い魅力的な融資であり、利用者は
どこの金融機関でも保証協会の制度を利用できます。
メガバンクからプロパー融資を受けられる基準にない企業が、保証付き融資を
メガバンクで利用したケースを考えてみます。
メガバンクとの関係は、あくまでも保証付きが前提ですので、いざと言う時に
プロパー融資をお願いしても門前払いです。
その時に慌てて信金信組に駆け込んでも、初めてお付き合いする相手にいきなり
プロパー融資を出す可能性は低いはずです。
また信金信組の立場からすると、「メガバンクが安全性の高い保証付き融資
なのに、なぜうちだけがリスクの高いプロパー融資を出さなくてはならないの
か?」となります。
違った見方で検証します。
貴社を年商3億円の企業と仮定します。
超大手企業をメインの取引先としているメガバンクからすると、貴社はあまり
重要ではない顧客となります。形式上の担当、もしくは担当すらつかないことも
あります。
一方、地域密着型で、比較的小規模の事業者を取引先としている信金信組では、
貴社は重要な顧客として迎え入れられる可能性があります。
エース級の担当がつき、プロパー融資も含めて資金面を支えてもらえる確率が高まります。
資金戦略のポイントは、いかに早いステージでプロパー融資を調達できるか
どうかです。
いきなりプロパー融資を受けられるケースは少なく、一般的には保証付き融資
からスタートして信用を積んだ後、少しずつプロパー融資を受けられるように
なる流れです。
保証協会の保証枠には上限がありますので、プロパー融資を念頭において、
その枠をどこの金融機関に割り当てるかが重要です。