■今回の緊急融資の扱いについて!
コロナ禍〔COVID-19〕はまさかの出来事でした。
緊急事態宣言、営業自粛に追い込まれる事態がこの時期に起きることを
予測できた人はいなかったはずです。政府も緊急融資の制度を充足させ、
中小企業への融資金を気前よく供給しています。
一方、この赤字補填資金は、少なくない企業のバランスシートを
棄損させることになります。出口(返済)をどうするのか?
近い将来現実問題として露呈します。
■平時に戻った時、次の融資を金融機関は出し渋ります。
保証協会付きの融資や政府系金融機関の融資は、
今回の緊急融資を「無かったことにして」財務分析を行い、
その前提で融資審査をしてくれることを願いますが、そうはならないでしょう。
一方、民間金融機関が単独で行うプロパー融資はさらに敷居が高くなります。
今回の借入金が劣後※でない通常の債権である以上、
金融機関の融資審査時は、今回の借入金が現存する前提で審査を行わざるを
得ないはずです。多くの企業に次の融資を実行できません。
※劣後(ローン)とは、返済の優先順位を後回しにするローンです。
仮にその債権が劣後であれば、普通融資を実施する金融機関にとっては、
ある程度の範囲で劣後ローンの存在を無視できます。
■今後は益々財務戦略が重要になります。
財務は、中小零細企業や個人事業者にとっても大変重要な機能 です。
であるにもかかわらず、財務無知、財務無策の経営者は少なくありません。
有事は緊急融資・緊急保証制度で乗り切れても、平時に戻った時に
次の資金調達に支障をきたします。財務機能を持ってください。
■今回の緊急融資の扱いについての希望的観測にもとづくシナリオ
(想像です。)
1.力のある会社は返済計画に沿って返済できます。
痛んだバランスシートも一定の時間をかけて改善できます。
2.1ができないが見込みのある会社に対して政府は、劣後の
資本制ローンに切り替えられるソリューションを準備してくるでしょう。
今回の融資分を資本(資本制ローン)に組み替えることで、他の金融機関
からの新規融資を促すことになります。経営の正常化を後押しできます。
3.2でもダメな会社に対しては、債権を資本に振り替えて備忘価格で
買い取るソリューションを準備してくるでしょう。
債権買取り専用のファンドを創設して、そこが一括して今回の(緊急)
融資金を引き取る仕組みです。実質的な棒引きです。
この様なシナリオを政府が準備してくれるとありがたいのですが、
そうでなくても、我々は会社を守っていかねばなりません。
売上と利益を作ることと、お金回りを守る財務機能を両輪に見 立て、
確実に事業を再生させましょう。