役員報酬は利益の調整弁

役員報酬は会社の利益の調整弁になります

社長に対して払う給料のことを、役員報酬といいます。

実は、この役員報酬が会社を始めようというときに

極めて重要なポイントになります。

日本企業の70%は赤字です。

役員報酬は会社にとっては費用なので、役員報酬の金額を低く調整すれば

会社の利益は増え、役員報酬の金額を高くすれば会社の利益は減ります。

つまり、法人税等を支払いたくなければ、役員報酬を上げてしまえばよいのです。

しかし、役員報酬は社長に対する給料ですから、

会社の費用になってもそれを受け取った社長は

個人の所得税と住民税を支払わなければなりません

したがって、闇雲に高くすればよいというわけでもないのです。

役員報酬はあらゆる側面において、会社の利益の調整弁になります。

会社が利益を上げる必要があるならば役員報酬は低くすればいいですし、

利益を下げようと思えば高くすればいいのです。

前置きが長くなりましたが、 いくつかポイントを見ていきましょう。

役員報酬は定期同額でなければいけない

役員報酬は定期同額でなければいけません。

定期同額とは、毎月同じ時期に同じ金額を支給しなければならない、ということです。

つまり、月給は毎月30万円で25日に支払うと決めたら

その金額と支給日は変更してはいけないということです。

(支給日に関しては土日などもあるので、多少の前後は構いません。)

会社が儲かろうが儲からなかろうが、

役員の給料は常に一定でなければならないのです。

役員報酬は社長の一存で上げ下げできる場合が多く、

仮に役員報酬の金額を自由自在に変更できたら

「今年はかなり利益が出ているから役員報酬を今月はドカンと上げて

 会社の利益をゼロにして、法人税等の支払いから逃げてしまおう」

というようなことが生じ、誰も法人税等を払わなくなってしまいます。

つまり、法人税法は役員報酬の上げ下げによる利益調整を禁じているのです。

役員ボーナスは税務上はかなりの損である

「役員報酬は変動させちゃいけないなら、役員ボーナスを多く払おう」

というのもよくありません。

もちろんボーナスを払うこと自体は問題ありませんが、

役員ボーナスを払っても定期同額ではないということになり

税金計算上、経費にはなりません。

そのため役員にボーナスを払うと、法人税等も払わないといけない、

もらった方の役員も所得税と住民税を払わないといけないので、

ダブルパンチとなります。

したがって、役員ボーナスを払うことは経済的には合理性はありません。

役員報酬は年に1回、改定可能

「では、一度役員報酬を30万円と決めたら、変更はできない?」

もちろん、役員報酬を変更することは可能です。ただし、年に1回です。

役員報酬は決算日から3ケ月以内に1度だけであれば変更することが可能です。

年に一度の変更のタイミングで、自社の損益計算書をどのように

つくり上げるのかを考え、役員報酬の決定をすることになります。

ご不明な点はお気軽にお問い合わせください。